写真が趣味ではない理由

 プロ/アマチュアを問わず、写真家を名乗るのなら、最も重要なのはその場所に居るかどうかだ。

 戦場カメラマンは戦場にいてこそカメラマンなんだし、式場カメラマンは式場にいてこそカメラマンだ。戦場カメラマンが結婚式場に居る時はカメラマンを名乗るべきではないし、式場カメラマンはそもそも戦場に行くべきではない。

 プロは現場にいなければ仕事にならないのだけど、アマチュアは撮影で稼いでいるわけではないから、必ずしも「そこ」に居る必要はない。カメラや機材を沢山持っているだけならただの収集家だし、子供の運動会や発表会にカメラをぶらさげていくだけではカメラマンは名乗れないだろう。

 ネイチャーフォトに魅せられて、脱サラそて釧路平原にペンションを営み、客の来ないシーズンに日常的に写真を撮っているなら立派なカメラマンだと思う。林家ペーパー夫妻は立派なカメラマンだと思う。熱心なインスタグラマーはカメラマンだと思う。

 野鳥愛好家とカメラ愛好家とカメラマンの区別は難しい。ただこの三者の中で一番幸せなのは野鳥愛好家だと思う。

 野鳥写真と同じように、散歩写真というジャンルもある。昔ならスナップ写真、今ならストリートフォトはこの分野に入ると思う。フォトコンの上位に散歩写真が入選する事も珍しくない。写真家としてフォトコン上位に入選できるようなモティーフを探して街中を彷徨い歩くよりは、散歩を純粋に楽しんで、その記念に撮影してくるというスタンスの方が楽しいと思う。つまり、散歩が主でカメラは散歩を楽しむための道具に過ぎない。